創作に関するメモなど。
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リハビリお題2作目はオリジナル『正義マン』でのお届けです。
真実がボケて(天然的な意味で)光がツッコみ(粛清的な意味で)春樹がとりなす、というのが正義マン三人組の一応のお約束パターンになってます。
『正義マン』のキャラクター達が誕生した頃には学校裏サイトはおろか携帯電話さえ普及してはいなかったのですが…。『正義マン2009』ってコトでひとつ。
でも三人はまだ中学生なワケだから…このSSはSSとして真実達がケータイを持ってるのかどうかはまだ考慮の余地アリ、かもしれませんなー。
真実がボケて(天然的な意味で)光がツッコみ(粛清的な意味で)春樹がとりなす、というのが正義マン三人組の一応のお約束パターンになってます。
『正義マン』のキャラクター達が誕生した頃には学校裏サイトはおろか携帯電話さえ普及してはいなかったのですが…。『正義マン2009』ってコトでひとつ。
でも三人はまだ中学生なワケだから…このSSはSSとして真実達がケータイを持ってるのかどうかはまだ考慮の余地アリ、かもしれませんなー。
『086 滑り込みセーフ:正義マン』
駅前にある、噴水の広場。
地元住民が待ち合わせの約束をする際の定番となっている、この場所。
駅舎の壁面に設置された時計が見える位置のベンチに腰を下ろし、日曜日の昼だと言うのにげんなりとしたカオを並べているのは柳原光と樋川春樹である。
肩にかかるほどの長さの黒い髪に、切れ長の目-目つきが悪いだけとも言う-全体的にキツそうな雰囲気を漂わせている、光。
背中の半ばあたりまで伸ばしたやや色素の薄い髪を首の後ろのところで一つにまとめて、レンズの大きな眼鏡をかけている、こちらは全体的にぼんやりとした雰囲気をまとっている、春樹。
二人の少女は似たような体勢でだらりとベンチに座り込み、もうずいぶんと長いこと、会話を交わすでもなく駅の時計を見上げていた。
空は青く風はあたたかく、ともすれば眠気を誘発しそうなぐらいに気持ちの良い日だった。
二人の目の前を無数の一般市民が通り過ぎてゆく。目的を持って電車に乗り込んでゆく人々。あるいは、約束した相手と連れ立って街へと繰り出してゆく人々。
そんな人の流れからは完全に切り離された状態で、光と春樹はただベンチにもたれてじっとしていた。
それからどのくらいの時間が流れただろうか。
続く沈黙に耐え切れなくなった、という気負いまではないものの、その場に満ちた気まずさは何とかしなければならないという使命感が滲んだ口調で、春樹がぽつりと呟いた。
「……真実クン、遅いね……」
隣りに座る友人の方は見ないまま、それに答えて光が口を開く。
「…約束、何時やったっけ?」
「11時……」
「…いま、何時やっけ?」
「……13時……」
「…真実には、」
「うん、待ち合わせ、10時ねって言ったよね…」
あはは、と意味もなく気弱に笑ってみせる春樹。
「真実クン、いつもどうせ一時間ぐらいは遅れて来ちゃうからって…」
「……そうやな……いつも、一時間ぐらいはな……」
どんよりと濁ったまなざしでその言葉を反復してから、光は春樹に向かって上向きのてのひらを差し出した。
「ん?」
「ケータイ、ちょっと貸してくれる?」
「うん、いいけど……真実クンに電話するの?」
春樹は肩からかけていたカバンの中から自分の携帯電話を取り出し、光の手の上にのせてやる。
「いや、ちょっとな……」
受け取るなり、慣れた手つきで携帯を操作し始める光。春樹の携帯なのに光が自分のもののように扱えるのは、パケット代や通話料が発生する操作のほとんどを大抵は彼女の携帯を借りて済ませているからだ。
ちなみに、光もちゃんと自分の携帯電話は持っている。
「って! なっ、何してんの光クン!? 何でそんなっ、当然のごとくアドレス直打ちで学校裏サイトらしき怪しげなページに接続してるの…ッ!?」
「いや、単にちょっとだけ真実の本名その他を詳細に書き込んでそこに根も葉もない誹謗中傷を付け加えることによって何の連絡もなく四時間遅刻するというのがどんなコトなのかを社会的なリスクを負わせることでわからせてやろうかと思っただけやって」
「待って! お願いだから待って! 光クン打ち込むの早ッ! ダメだよそんなの書き込んじゃダメだよー!! 匿名での誹謗中傷とか個人情報の流出とか今の世の中においてはいろんな意味で危険過ぎるでしょッ!? ダメ、ゼッタイ!」
慌てて光の手から携帯電話を取り戻す春樹。
「って言うか、ウチの学校って裏サイトあったんだ……そっちの方がショックだ……」
「某巨大掲示板にもスレ立っとるけどな」
「マジ!? 誰が立ててるのそんなスレ!? …いや、光クン、そこで嫌な感じに目を逸らさないでよ…! 光クンはそんなコトしないって私は信じてる…! 信じてるからこっちを向いてよ…!」
両手で掴んだ光の肩を春樹がゆさゆさと揺さぶっているところへ、
「いやいやいや、おっまたせー!! ごめんごめん、ちょーっとだけチコクしちゃったよー! でもっ、ギリギリ滑り込みセーフだよね!?」
びっくりするぐらいにノー天気であっかるい声をあげながら、駆け寄ってくる一人の人物。
栗色の長い髪に真っ赤なヘアバンド、声の通りに陽気な雰囲気を全身から発散している小柄な少女、桜井真実である。
「ど・こ・がッ!! ちょっとだけ遅刻やねんッ!! ギリギリでもなければどこに滑り込めてもいないしセーフなワケないわぁッ!!」
「ぎゃー!! ちょ、ちょっ、光クンストップストップストップ!! 曲がってはいけない方向に! まこっちゃんの腕が決して人間として曲がってはいけない方向に曲がってるからー!!」
「落ち着いて、光クン落ち着いてどうか冷静にー!! ここで真実クンの腕うっかりへし折ったりしちゃったら病院とか行かなきゃならなくなってさらに予定が遅れるから暴力はナシの方向でぇー!!」
「かばってくれてるように見えて実は何気にヒドいコト言ってる!?」
「一番ヒドいのはアンタやっちゅうねん……!!」
駅前にある、噴水の広場。
地元住民が待ち合わせの約束をする際の定番となっている、この場所。
駅舎の壁面に設置された時計が見える位置のベンチに腰を下ろし、日曜日の昼だと言うのにげんなりとしたカオを並べているのは柳原光と樋川春樹である。
肩にかかるほどの長さの黒い髪に、切れ長の目-目つきが悪いだけとも言う-全体的にキツそうな雰囲気を漂わせている、光。
背中の半ばあたりまで伸ばしたやや色素の薄い髪を首の後ろのところで一つにまとめて、レンズの大きな眼鏡をかけている、こちらは全体的にぼんやりとした雰囲気をまとっている、春樹。
二人の少女は似たような体勢でだらりとベンチに座り込み、もうずいぶんと長いこと、会話を交わすでもなく駅の時計を見上げていた。
空は青く風はあたたかく、ともすれば眠気を誘発しそうなぐらいに気持ちの良い日だった。
二人の目の前を無数の一般市民が通り過ぎてゆく。目的を持って電車に乗り込んでゆく人々。あるいは、約束した相手と連れ立って街へと繰り出してゆく人々。
そんな人の流れからは完全に切り離された状態で、光と春樹はただベンチにもたれてじっとしていた。
それからどのくらいの時間が流れただろうか。
続く沈黙に耐え切れなくなった、という気負いまではないものの、その場に満ちた気まずさは何とかしなければならないという使命感が滲んだ口調で、春樹がぽつりと呟いた。
「……真実クン、遅いね……」
隣りに座る友人の方は見ないまま、それに答えて光が口を開く。
「…約束、何時やったっけ?」
「11時……」
「…いま、何時やっけ?」
「……13時……」
「…真実には、」
「うん、待ち合わせ、10時ねって言ったよね…」
あはは、と意味もなく気弱に笑ってみせる春樹。
「真実クン、いつもどうせ一時間ぐらいは遅れて来ちゃうからって…」
「……そうやな……いつも、一時間ぐらいはな……」
どんよりと濁ったまなざしでその言葉を反復してから、光は春樹に向かって上向きのてのひらを差し出した。
「ん?」
「ケータイ、ちょっと貸してくれる?」
「うん、いいけど……真実クンに電話するの?」
春樹は肩からかけていたカバンの中から自分の携帯電話を取り出し、光の手の上にのせてやる。
「いや、ちょっとな……」
受け取るなり、慣れた手つきで携帯を操作し始める光。春樹の携帯なのに光が自分のもののように扱えるのは、パケット代や通話料が発生する操作のほとんどを大抵は彼女の携帯を借りて済ませているからだ。
ちなみに、光もちゃんと自分の携帯電話は持っている。
「って! なっ、何してんの光クン!? 何でそんなっ、当然のごとくアドレス直打ちで学校裏サイトらしき怪しげなページに接続してるの…ッ!?」
「いや、単にちょっとだけ真実の本名その他を詳細に書き込んでそこに根も葉もない誹謗中傷を付け加えることによって何の連絡もなく四時間遅刻するというのがどんなコトなのかを社会的なリスクを負わせることでわからせてやろうかと思っただけやって」
「待って! お願いだから待って! 光クン打ち込むの早ッ! ダメだよそんなの書き込んじゃダメだよー!! 匿名での誹謗中傷とか個人情報の流出とか今の世の中においてはいろんな意味で危険過ぎるでしょッ!? ダメ、ゼッタイ!」
慌てて光の手から携帯電話を取り戻す春樹。
「って言うか、ウチの学校って裏サイトあったんだ……そっちの方がショックだ……」
「某巨大掲示板にもスレ立っとるけどな」
「マジ!? 誰が立ててるのそんなスレ!? …いや、光クン、そこで嫌な感じに目を逸らさないでよ…! 光クンはそんなコトしないって私は信じてる…! 信じてるからこっちを向いてよ…!」
両手で掴んだ光の肩を春樹がゆさゆさと揺さぶっているところへ、
「いやいやいや、おっまたせー!! ごめんごめん、ちょーっとだけチコクしちゃったよー! でもっ、ギリギリ滑り込みセーフだよね!?」
びっくりするぐらいにノー天気であっかるい声をあげながら、駆け寄ってくる一人の人物。
栗色の長い髪に真っ赤なヘアバンド、声の通りに陽気な雰囲気を全身から発散している小柄な少女、桜井真実である。
「ど・こ・がッ!! ちょっとだけ遅刻やねんッ!! ギリギリでもなければどこに滑り込めてもいないしセーフなワケないわぁッ!!」
「ぎゃー!! ちょ、ちょっ、光クンストップストップストップ!! 曲がってはいけない方向に! まこっちゃんの腕が決して人間として曲がってはいけない方向に曲がってるからー!!」
「落ち着いて、光クン落ち着いてどうか冷静にー!! ここで真実クンの腕うっかりへし折ったりしちゃったら病院とか行かなきゃならなくなってさらに予定が遅れるから暴力はナシの方向でぇー!!」
「かばってくれてるように見えて実は何気にヒドいコト言ってる!?」
「一番ヒドいのはアンタやっちゅうねん……!!」
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